タイに住んで12年。バイクは私の生活に欠かせない足ですが、困ったことにタイの道はよくパンクします。月に一度は針金を踏んだり空気が抜けたり……。

先日も、そんな「タイあるある」から始まる、少し不思議で災難な一日を過ごしました。

干上がったダムと、優雅に草を食む牛たち

お昼時、ふらっとバイクで外出。 クイッティアオでも食べようかと思いましたが、お目当ての店は満席。それならばと、お昼を後回しにして近くのダムまで走らせることにしました。

バイクで10分ほどの軽いドライブ。到着したダムは、あいにく水がほとんどなく、ひからびた状態でした。しかし、そこには放牧された牛たちがのんびりと草を食んでおり、なんとも穏やかな景色が広がっています。「いいものが見られたな」と満足して帰路につこうとした、その時でした。

「……ん? 後輪に違和感がある」

嫌な予感は的中。パンクです。 つい2週間前に直したばかりなのに、またか……と肩を落としました。

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謎の修理屋と、口紅を引いた細身の男

ダムの近くに修理屋があるか不安でしたが、パンクしたまま低速で走ること5分。幸運にも小さな修理屋を見つけました。

「すみませーん!」と声をかけると、奥から出てきたのは、バッチリと口紅を引いた細身のおじさん。 ここはタイ。そんな個性的なスタイルも日常風景のひとつなので、特に気にせず修理を依頼しました。

作業に時間がかかりそうだったので、その間に遅めのランチへ。 20分後に戻ってもまだ作業中。結局、さらに20分ほどベンチで待ち、ようやく修理が完了しました。

支払い段階になって、手持ちの現金がないことに気づき、銀行アプリでの振込を提案しましたが、「口座に問題があって使えない」とのこと。仕たないので隣の商店で手数料を払い、現金を調達して130バーツ(約560円)を支払いました。

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12年目で初の衝撃。「サイズ違い」のチューブ

無事に帰宅したものの、しばらくしてバイクを見ると、またしてもタイヤがベコベコに。 空気を入れ直して走ってみましたが、すぐに抜けてしまいます。

「あの修理、不十分だったな……」

再び修理屋を探し、人づてにようやく見つけた別の店へ。今度の担当はベテラン風の年配の女性でした。 彼女がタイヤを外して確認するなり、呆れたようにこう言いました。

「あんた、これ中のゴムチューブのサイズが全然合ってないわよ。小さすぎるわ」

タイ生活12年。数えきれないほどパンク修理をしてきましたが、「違うサイズのチューブを入れられる」なんて経験は初めてです。なぜあの店主はこれを入れたのか……謎は深まるばかりですが、彼女のおかげで今度こそ完璧に直りました。

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返金交渉の結果

納得がいかなかったので、先ほどの「口紅のおじさん」の店へ戻り、事情を話して返金を求めました。 逆ギレされるかと思いきや、彼はおどろくほど素直に非を認め、返金に応じてくれることに。

ただ、手元に現金が足りなかったのか、返ってきたのは110バーツ。 「残りの20バーツは後で取りに来てくれ」と言われましたが、もう二度と行くことはないでしょう。その20バーツは、勉強代として置いていくことにしました。

おわりに

タイでバイクに乗る以上、パンクは避けて通れません。 どこでパンクしても、探せばどこかに修理屋があるのがこの国の救いですが、まさか「サイズ違い」をぶち込まれるとは……。

皆さんも、タイでパンク修理をする際は(難しいかもしれませんが)作業をじっと見守っておくのが正解かもしれません。

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